第15章 それぞれの想い
「な、なんだ?!」
突然の音に海兵たちがすぐさま厳戒態勢をとる。
「あァ~やっちまった」
騒がしくなる周囲にぽりぽりと頭をかく。
あっという間にエースの周りを海兵が取り囲んでいった。
「貴様、大人しく投降しろ…!」
「そう言われて大人しくする海賊があるかよ」
向けられた銃を蹴りで弾き、跳躍する。
「おい、そっち行ったぞ!」
「だァァ暑ィ!!」
変装のため着ていたシャツをばっと取り払う。身軽になった手足を軽く振り、エースは海兵たちを見下ろす。
「あのタトゥ……!」
「まさか、火拳か?!」
「見つかっちゃしょうがねェな」
ぐ、と腕を引き一気に振り落とす。
「炎上網!!」
巨大な炎の壁が海兵たちを包んだ。
警笛が鳴り響く。
海兵たちの集まる足音と、武器を構える音がした。
「止まれ!」
「誰が止まるか!!」
火銃!!と立ちはだかる海兵へ炎のつぶてをお見舞いする。
「エース!」
「お、マルコじゃねェか」
十分に暴れた頃、空から怒鳴り声が響いた。
蒼い炎と共にマルコがエースの隣に降り立つ。
「てめェ、また勝手に暴走しやがってよい!」
周囲にはエースが暴れた跡がまざまざと刻まれていた。
「いや、俺だって最初は穏便にいこうとしたんだぜ?ただ見つかって…」
「少しは見つからねェ努力をしやがれ!まったくお前はいつもいつも…」
「おい…今度はもしかして、不死鳥か…?」
「火拳に、不死鳥…?」
「なんで白ひげがここに……」
突然の高額賞金首の登場に動揺が広がる。
「…ここまで来たらしょうがねェ。きっちり水琴見つけて帰るよい」
「そうこなきゃな」
そんじゃいっちょ景気づけに、とエースが腰を落とす。
そのエースを囲むように、足元から炎が生まれる。
「火柱ァ!!」
ゴォ!!と巨大な炎の柱が天を貫いた。