第15章 それぞれの想い
__異世界について、研究している人がいて。
__あの塔?Dr.ベルクの塔よ。
__海軍に、連行されるように…
……大佐と繋がる、怪しい科学者。
エースの中でぱちり、ぱちりとピースがはまっていく。
そもそもなぜ、水琴はオモテまでの案内を断った?
すぐそこまで迎えが来ていると水琴は言った。
__ただの研究者が、海賊やゴロツキがうようよいるウラまで、わざわざ迎えに来るだろうか?
はめ込まれたピースが見せる真実は到底良いものとは思えず。
「こりゃあ何か臭うな…っておい!」
またか!!と叫ぶサッチの声を背中にエースは甲板を飛び出した。
「おぉぉぉいエースがストライカーで出てったぞォォ!!!」
「なんだあいつ、どうしたんだ?!」
「親父!マルコ!」
ばんっ!!と船長室のドアが乱暴に開けられる。
「どうしたサッチ。静かにしろよい」
「エースが海軍に連れてかれた水琴ちゃんを追って出てった!!」
「……なに?」
ばっと窓から外を見れば小さくなるストライカー。
イゾウが先程甲板であったことを簡単に説明する。
「あんの馬鹿野郎が……!」
チッ、と舌打ちするマルコに白ひげの声が掛かる。
「追ってやれ。こっちは任せろ」
「親父……」
「なんか裏があるとは思ったが…なるほど、海軍の奴ら生意気なことするじゃねェか」
白ひげの目が鋭く光る。
「うちの客人に手ェ出すとは良い度胸だ。白ひげの威厳って奴を見せてやろうじゃねェか」
***
「しかし、ここからどうするか」
海軍専用の停泊所からこっそり忍び込んだエースは巡回する海兵たちの様子を窺いながら思案する。
水琴がこの基地にいるのは分かったが、この広い中から見つからないように捜すのは至難の業だ。
「やっぱ誰か海兵をノして服を調達するか…」
ぶつぶつと考えを巡らせていると海兵の一人とばっちり目があった。
「あ」
「き、貴様……?!」
「火拳!!」
銃を向けられたため咄嗟に火拳を放つ。
停泊所の片隅で爆音と熱が突如生まれた。