第93章 絆の証
「__ふう」
ようやく気持ちが落ち着き三人を解放した水琴はそれじゃあ次は私の番、と懐に手を伸ばした。
「実は私からも三人にあげたいものがあるんだけど__」
予想外の贈り物にすべて持っていかれたが、当初の目的はきちんと果たしたい。
自分のも喜んでくれるだろうかと少しドキドキしながら水琴はそっとある物を三人の前に差し出した。
それはミサンガだった。
赤、オレンジ、青とそれぞれのイメージカラーを中心に複雑に織り込まれた模様に、端町で手に入れた金属製の金具を取り付けたそれは自分でいうのもなんだが渾身の作だ。
学生時代ハマって指にタコができるくらい様々な種類のものを作ったが、作り方を覚えていてよかった。
「なんだこれ?すっげー!」
「きれいだなぁ。水琴が作ったのか?」
「うん。三人の兄弟の証にどうかなって」
「兄弟の証か。それいいな!」
水琴の提案に三人は顔を見合わせ笑うとミサンガを手に取り手首へはめた。
三人の手首で色違いのミサンガが揺れる。
その様子を見れただけで、睡眠時間を削って作った甲斐があったと水琴は満足感に浸っていた。