第93章 絆の証
「水琴のも合わせたら、家族の絆だな!」
「え?」
ルフィの声に水琴は我に返る。
一拍遅れてバレッタのことを言っているのだと気が付いた。
「確かに。感謝の気持ちのつもりだったけど、そういう意味を込めるのもいいよな」
ルフィの言葉にサボがうんうんと同意する。水琴はそっとつけたままだったバレッタへ触れた。
三人が水琴を想い贈ってくれた髪飾り。
この時代の、絆の証。
「これでどこにいたって家族だって分かるな」
ルフィの満面の笑みに水琴だけでなくエースとサボもまた笑みを浮かべる。
そうしてようやく、四人は賑やかな昼食をいつも通り繰り広げるのだった。
皆が寝静まった後、小さな明かりを頼りに水琴は黙々と手を動かす。
手の中で少しずつ編まれていく模様に、水琴は小さな祈りを込める。
___どうか、彼らがこれからも健やかでありますように。
___時が経っても、誰一人欠けることなく兄弟でいられますように。
それは予感だったのか。
覆い隠された記憶を知ることがないまま、彼らはその日を迎える。