第93章 絆の証
鏡がないので見た目の確認はできないが付け心地はすこぶる良い。
ぐらつくこともなく、かといって痛むこともなくバレッタはすんなりと水琴の髪に馴染んでいた。
「エースが選んだんだぞ」
「っ馬鹿ルフィ!なんで言うんだよお前は!」
「なんでだ?言っちゃダメだったのか??」
「え、そうなの?」
体勢を元に戻し思わぬ弟からの暴露に慌てるエースへ向き直る。
問いかければ先程の比じゃないくらい真っ赤になった。
何か言いたそうにぱくぱくと口を開けては閉じを繰り返し、結局言葉が出てこず顔を逸らす。
「わ、悪ィかよ……」
ようやく振り絞られたそれに水琴は悪いわけないじゃん!とエースをぎゅっと抱きしめた。
「はっ?!」
「すっごい嬉しい!ありがとう!二人もありがとう!」
傍にいた残りの二人もまとめて腕の中に閉じ込める。
突然のことに二人も驚き慌てた声を出した。
「おいこら!放せよ!」
「ごめん今ちょっと無理」
「水琴、苦しい……っ」
「ごめん、ほんとごめん」
「どーしたんだ急に??」
戸惑う三人の声を余所に水琴はエース同様染まる頬を隠すため三人を抱く腕に力を込める。
お願いだからこれ以上ときめかせないでほしい。十年を待たずに陥落してしまいそうだ。