第93章 絆の証
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「え?手伝い平気なの?」
突然ダダン一家の小屋を訪ねてきたマキノからしばらく手伝いはいらないと聞き水琴は首を傾げた。
そうなの、と子どもたちの服を届けてくれたマキノは臨時のバイトが入ったのだと付け加えた。
「だから数日は大丈夫。何かやりたいことがあるんでしょ?夜更かししないで昼の空き時間にやるようにしなさいよ」
「……うん、ありがとう」
確かにここ数日水琴はある目的のために睡眠時間を削っていた。
日中は家事や店の手伝いなどがありなかなか時間が作れず、必然的に皆が寝静まった後になってしまっていたのだ。
少しくらいなら大丈夫だと思っていたが昼間にも響きつつあった状況だけにマキノの申し出は正直嬉しい。
山を下りるマキノを見送り、水琴は自室へと戻った。机の上に広げられた糸の束を手に取る。
束は三種類。小さな金具が散らばってどこかにいってしまわないように脇にまとめ、水琴はよしと気合を入れた。
「早く完成させちゃわないとね」
喜んでくれるといいな、と水琴は愛おしそうにそっと撫でた。
数日後。水琴は久しぶりに昼食を持って三人の根城を訪ねていた。
しばらく昼はいいと言われていたのでこうして共に食卓を囲むのは三日ぶりだ。ちょうど完成した例の物を懐にしまい、水琴はいつ渡そうかと胸を弾ませていた。
タイミングを見計らうために三人の様子を観察していると、何やらそわそわと落ち着きがない。一体どうしたんだろうと首を傾げればエースと目が合った。
「あー、えっと」
わざとらしく咳払いをしたエースは横のサボに小突かれて背後から何かを取り出す。