第93章 絆の証
「なるほどね。それでそのバレッタを買うお金を貯めるためにここで働かせてほしいってわけね」
「ダメか?」
「そうねえ」
マキノは三人の顔をじっと見てふふ、と笑う。
「どーしたんだ?」
「いいえ別に。水琴は幸せ者だなって思っただけよ」
いいわよ、とマキノは三人の視線を受け鷹揚に頷いた。
断られることも覚悟していただけに二つ返事で快諾してくれたマキノに三人は顔を見合わせ喜び合う。
「ただし。雇うからには私も妥協しないわよ。労働時間内はしっかりと働くこと。お客さんとの小競り合いも禁止。約束できる?」
「分かった!」
「エース、お前もう皿割るなよ」
「お前こそ棚壊すなよ」
さすがに子どもを夜働かせられないということで、労働時間は昼のみとなった。
さっそく明日から始めることになり、三人は礼を言い店を出ていく。
「とりあえずこれで何とかなりそうだな」
「あとはバレないようにしないとな。特にルフィ、お前嘘下手なんだから気をつけろよ」
「わ、わかってりゅ……!」
「不安だ……」
ルフィの様子に一抹の不安は残るが、たかが三日だ。
マキノも水琴が店に来ないよう手を回してくれると言っていたし、何とかなるだろう。
明日からの三日間を思い、三人は三者三様の笑みを浮かべ根城へと帰っていった。