第93章 絆の証
「なァなァエース、これ!」
ルフィはといえば不発に終わってしまった尾行に落胆しているかと思えばそうではなく。
その興奮した声にエースは店のショーウィンドウにへばりついたルフィへと近寄った。
「何見てんだ」
「これなんだ?すっげーキラキラして、うまそうだな。飴か?」
「あぁ、これはブレスレットだよ。アクセサリーだから食べ物じゃないぞ」
サボの説明にへー、とルフィは再びガラスの向こうへ目をやる。
ルフィの視線の先では光を受けブレスレットがきらきらと輝いていた。
確かに丸くつやつやと輝く色とりどりの石は一見すると飴玉にも似ている。
そのブレスレット以外にもショーウィンドウには様々な商品が陳列されていた。その商品の魅力を最大限見せつけるように配置された名も知らぬ装飾品たちをエースはただぼうっと眺める。
ふと一つの商品に目が留まった。髪留めだろうか。丁寧に織られたレースのように細く繊細な銀の透かし模様を、晴れた青空のような透明感のある石が飾る。
楕円形の銀細工の中心には四つ葉が描かれており、その中央には他の石よりも一回り大きな乳白色の石がはめ込まれていた。
一目見て好きそうだな、と気の抜けた笑顔を思い出した。
この五年の付き合いで水琴の好みはなんとなく分かる。
きっとこの場に水琴がいたらルフィのようにきらきらと目を輝かせてショーウィンドウにへばりついていたことだろう。
もし、これを内緒でプレゼントしたら。エースは髪留めを手にした水琴を想像する。
一体どんな反応をするだろうか。