第92章 宣戦布告
「やっほー。みんな捗ってる?」
ルフィが地面に転がって何度目か。木々の間から水琴がひょっこりと顔を出した。
その手には差し入れだろう包みが握られている。目ざとくそれを見つけたルフィは地面からさっと身体を起こし一目散に水琴へと駆け寄っていった。
「なぁ水琴それなんだ?肉かっ?」
「残念、おにぎりだよ。でも唐揚げ入りのもあるから」
「やったー!」
「ルフィ。先に手を洗えよ」
飛び跳ねるルフィを諫めるようにサボが後に続く。一番最後にゆっくりとエースは近寄っていった。
既に頬張り始めていたサボが珍しくこの時間帯に顔を出してきた水琴に首を傾げる。
「今日は水琴もう仕事ないのか?」
「夕飯まではね。だから久しぶりに混ぜてもらおうと思って来たんだけど」
「いいぞ!尻尾取りやろう!」
「それいいな。エースもやるよな?」
サボからの誘いにエースはためらった。
この距離ならば当たり障りのない態度を取っていられるが、尻尾取りとなるとだいぶ距離が近い。
まだ水琴と向き合う自信がないエースは首を横に振った。
「疲れてるからおれはいい。見ててやるから二人がやれよ」
「えー?せっかくだから三人でやろう!」
「……エース。ほんとにいいのか?」
口を尖らせるルフィの横でサボが意味深に再度エースに問い掛ける。
こちらの心の奥底を透かし見るようなサボの視線にエースはなぜだかイラついた。