第92章 宣戦布告
「あ、エースちょうどいいところに。山菜採りに行くんだけどちょっとついてきてくれない?」
「悪ィ、おれこれからあいつらと稽古だから」
「そう?それじゃあしょうがないね」
あの日から一週間。最初の頃はぎこちなかったが、最近は自然と水琴の頼みを断れるようになってきた。
元々独立してからはそこまで行動を共にしていなかったのはエースにとって都合が良かった。たまにあぁやって水琴から声が掛かるが、それは兄弟たちをダシにすれば変に追究されることもない。
気持ちの整理は依然として難しいままだが、それも時間が解決してくれるだろう。
少し傷んだ胸は見ないふりをした。
「エース、次お前だぞ」
「え、あァ」
サボに声を掛けられふと意識が目の前に戻る。
そうだ、いつもの開けた場所で組み手をしていたのだった。
いつものようにサボに軽くあしらわれたルフィが地面に転がったまましっかりしろよな!と文句を吐いた。
「最近ぼーっとしてばっかりじゃねェか。腹でもいてェのか?」
「お前と一緒にすんな」
「なら次はおれとエースだぞ!次こそ勝ってやるんだからな」
「お前がおれに勝つなんざ百年早ェよ」
「だけどほんと、最近エースは気もそぞろだからな。下手すると一本取られるかもしれないぞ」
頑張れよルフィ―、とサボが朗らかに声援を送る。
気が散っているのは否定しないがルフィ相手に一本取られることはたとえ目隠ししていたってあり得ない。
いくぞー!と気合を入れ向かってくる弟相手にエースは腰を落とし身構えた。