第92章 宣戦布告
ごろりとエースは根城に一人横になる。
ルフィは水琴とフーシャ村に行き、サボはいつもと様子の異なるエースに何かを感じたのか、黙って根城を出ていった。
何度目か分からない寝返りを打つ。
久方ぶりの一人の空間は痛いくらいに静かだった。
「ばっかみてェ……」
想いを自覚した途端に、失恋だなんて。
本当に、間抜けにも程がある。
いつから、なんて考えても分からない。
考えても無意味だろう。
だってこの恋は終わってしまったのだから。
昨日の水琴の表情を思い起こす度に胸がぎしりと悲鳴を上げる。
もし、もっと早くこの気持ちに気が付いていたら、何か変わっていたのだろうか。
いや、何も変わらなかっただろう。
だってエースが出逢った時には、水琴の心はとっくに誰かのものだったのだから。
「おぉーい、エース」
根城の外からサボが呼ぶ声がして、エースはのっそりと起き上がり窓から下を見下ろす。
そこにはサボの他にフーシャ村に行っていたルフィと水琴の姿もあった。
「そろそろ起きれるか?ルフィがマキノからたくさんお菓子もらってきたんだ、一緒に食べようぜ」
「マキノの手作りなんだぞ!」
「茶葉も買ってきたからお茶にしようよ」
袋を持ち上げ楽しそうに笑う水琴に心臓が面白いくらい跳ねる。
重症だ、と項垂れつつもエースは今行く、と返事をし地上へ降りた。