第91章 自覚
妙な罪悪感を覚えるサボはお前のせいだぞ、とエースを小突いた。
「おれのせいかよっ」
「お前がいつまでもぐだぐだボヤいてるからだろ!」
「それを言うならサボが話を変に膨らますからだろ!」
「ほらまたぁ!」
ルフィの不満の声にさすがに二人も放っておきすぎたと反省する。
お互いまだ言い足りないところはあるが、ここは一時休戦といこうとサボはルフィへと向き直った。
「悪い悪い。そうだな、早く終わらせて遊びに行こうぜ」
「そーだぞ!日が暮れちまうよ」
「飯の調達もしないといけないしな」
ようやく本腰を入れ片付け始める兄二人を見てルフィはまったく、と誰の真似か腰に手をやり溜息をついた。
「大体女の裸なんて見てもつまんねーのに、そんな話ばっかしてもしょーがねーじゃんか」
ルフィが落とした、恐らくは本日最大の爆弾に二人はぎしりと固まった。
「え、ルフィ見たことあるのか……?」
「あるぞ!ここ来るまではマキノと風呂入ってたし」
「っお前、七歳にもなって一緒に入ってたのかよ!」
「しょーがねーだろ!だって一人だと溺れちまうんだもんよ」
ぷりぷりと怒るルフィの言葉に唖然とするも、確かに三人で入る時でさえ遊びに夢中になり溺れかけることが多々あるルフィだ。
命が掛かっていると思えば仕方が無いことなのかもしれない。
そしてエースがあることに気付きはっとする。
「……ってことは、お前おれたちとつるむようになるまではどうしてたんだ?」
「水琴に風呂入れてもらってた!」
本日最大を更新したルフィの悪気のない爆弾がエースの上に落ちるのが見えた。
「ドグラやマグラに入れてもらえって言われたんだけど、あん時は山賊なんて大嫌いだったからよー。あ、今はダダンたちはおもしれーから好きだけどな!他の山賊は嫌いだけど」
「………」
「だけどなんで女の体ってあんなにやわらけぇんだろうな。それにおっぱいがあんなデカくて邪魔じゃねぇのかな」
「ルフィ、ルフィ。そんくらいでちょっと止めてやって」
風呂の片付けは終わらなかった。