第91章 自覚
水琴がこの島で過ごし始めて五年。ルフィが来てからはフーシャ村にも顔を出すことが増えてきた。
いつ彼女へアタックを仕掛ける者が出てもおかしくはない。
「__気になるんだろ」
だから、ここらでサボはエースの背中を押してやるため揺さぶりをかける。
大事な兄弟の初恋。応援してやりたいのは当たり前だ。
「そりゃあ、目の前であんな無防備でいられたら穏やかじゃないよなぁ」
「はっ?!お、おれは別に……ただ、常識を持てってだけで……っ」
「の割にはめちゃくちゃ動揺してたろ」
「してねェよ!大体それならサボもだろ!」
「俺は水琴が風邪引かないか心配しただけだ」
「なーなー!エース、サボ!見てくれよこれ!」
離れたところでゴミを集めていたルフィが突如張り上げた声に二人は目を向ける。
そこには木片を組み合わせ作った妙な形の人形を掲げ持ったルフィがいた。
「スーパールフィ号!」
「いつの間に。よく作ったな」
「お前、またそんな遊んでると水琴に怒られるぞ」
「だって二人でばっか話してつまんねぇんだもん!おれも交ぜてくれよ!」
ぷっくりと頬を膨らますルフィの要求はなるべく叶えてあげたいと思うサボだが、この話題ばかりはそうもいかない。
困り曖昧に笑うサボに対し、エースはルフィをはんっと鼻で笑いあしらった。
「お子様のルフィには分かんねェだろ」
「分かるぞ!女の裸だろ?」
あけすけな言い方に二人は逆にたじろぐ。
間違ってはない。間違ってはないが、そんな言葉がルフィから飛び出すというのは、なんというか、こう心にくるものがある。