第90章 船長勝負
「どうりゃぁぁあああああ!!!!!!」
分厚い雲を切り裂く声が、高らかに響いた。
横からものすごい勢いで飛び出してきたエースが振るった鉄パイプが破壊者のこめかみを殴打する。
かなりの衝撃で脳を揺らされた破壊者は意識を飛ばし地へと沈んだ。
水琴の前方に着地した小さな背中を唖然と見つめる。
「……エース?」
「なに間抜け面で座り込んでんだよ。早く立てよ」
「うまくいったなエース!」
「おォ~い!おれもほどいてくれよ!」
エースが飛び出してきた森の陰からサボも現れる。
木々の向こうからはルフィの情けない声が聞こえてきた。
__これは夢だろうか。
「だけどエースもルフィをパチンコにして自分を撃ち出すなんて、ほんと無茶なこと考えるよな」
「サボも反対しなかったろ。結局倒せたんだからいいじゃねェか」
「だからァ!エース!サボぉ!!」
「はいはい。ルフィもお疲れさん」
三人のいつも通りのやり取りを前に水琴はしばし呆然と座り込む。
「おい。お前な、一人であんま無茶すんじゃねェよ」
そんな水琴をエースはややむっつりとして睨み上げた。
「能力使えなきゃてんで弱ェくせに。肝が冷えたじゃねェか」
「……心配してくれたの?」
「ばっ、心配っていうか、だな。これは!ただおれたちなりにけじめを……」
「うん。ありがとう」
何やらもだもだと言い訳をするエースに水琴は素直に礼を言う。