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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第90章 船長勝負






 「っルフィ!!」


 主に向かい合っていたルフィの背後に躍り出た大型の獣に水琴は声を上げ飛び出した。
 ルフィを抱え、風を生む。

 「突風!」

 生まれた巨大な風はルフィの背後を狙っていた獣へとぶつかり弾けた。
 その勢いに獣は叫び声を上げるがダメージは受けなかったようで、血走った目で水琴を追う。

 「ルフィ、二人のところへ行って!」

 現れた獣を認識し、水琴は舌打ちをした。

 この森には主と呼ばれる獣が複数いる。
 そのうちの一体は先程まで三人が対峙していた”森の王”
 そして今水琴の前に現れたのは二体目の主。

 ”静寂の狩猟者”

 見た目は豹のようだが、その大きさはけた違いだ。
 その二つ名に恥じず、音もなく忍び寄り素早い動きで獲物を仕留める森のハンターは今、涎を垂らし本日の夕食を仕留めようと様子を窺っている。

 「こんな時に現れなくてもいいのに……っ」

 突然現れたもう一体の主に殺気だった森の王は、まずは一番の弱者を排除することに決めたようだ。
 ゆらりと水琴へと向き合う二体に対して腕を構える。

 __その腕にぽつり、と水滴が落ちた。
 
 感じる冷たさに水琴は蒼褪める。 


 「しまっ……!」


 空を見上げる。気が付けばうっすらと張っていた雲は随分と分厚くなっていた。
 顔に水滴が落ちる。その量は間隔を上げず増え、一拍の後に容赦のない篠突く雨が水琴を襲った。
 急速に身体から力が抜けていく。崩れ落ちそうになる膝に、気合だけで何とか踏みとどまった。


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