• テキストサイズ

【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第90章 船長勝負





 「あちゃ~~」
 「ほらな、やっぱ無理だろ」
 
 主は特にルフィに追い打ちをかけようともせず、飛んできたハエを払っただけとでもいう様子で果実をむしり取る作業に戻っていく。


 「よぉし!次は俺だ!」


 そう言って立ち上がったのはサボ。鉄パイプを構え、見てろよエース!と勇み駆けていく。
 すぐさま主の前に飛び出していくかと思いきや、サボは主に気付かれない絶妙な位置を通り背後へと回りこみ、何やらごそごそと作業を開始した。
 どうやら木の枝を利用し簡易的な投石器を用意したらしい。大きな石をセットし、サボは勢いよく打ち出す。
 肩辺りにぶつかったそれは先程のルフィのパンチよりもいい衝撃を与えたようだった。怒りを滲ませた主が石が飛んできた方を睨む。
 その間に脇へと移動していたサボは死角から飛び上がり鉄パイプを振り上げた。

 「てりゃあ!!」

 渾身の力で叩き落した鉄パイプは主の腕により阻まれる。そのまま握りこまれ、思い切り横へと放り投げられた。


 「うわぁ!!」


 鉄パイプごと吹き飛ばされたサボは木々の中へと落ちていく。


 「へっ、情けねェな二人とも!おれがトドメさしてやるよ!」


 立て続けにやられてしまった兄弟を見てエースが腰を上げる。その表情は自信に満ち溢れている。
 どんな作戦があるのかと思いきや、エースは茂みから飛び出し正面から堂々と主へと走り寄っていった。
 殺気だった主がエースを捉え、大きく手を振る。
 その攻撃を重心を低くし避け、エースは周囲を囲む木を蹴り飛び上がった。
 

 「ここだぁ!!」


 四方へ飛び回り主の気を散らし、死角に入ったところで脳天を狙い鉄パイプを振るう。
 それは見事ヒットしたが、やはり威力は不十分のようだった。
 怒りに濡れた目がエースを見、握りしめた巨大な拳が大きく引かれる。

 「っ!!」

 咄嗟に鉄パイプでガードするものの、殴られたエースはそのまま後方へと吹き飛んだ。


 「はいおかえり」


 地面に叩きつけられる前にルフィとサボを回収した水琴の風によって受け止められる。


 「一回戦目はここまでかな。逃げるよ!」


 さすがに食事中三匹もハエに飛び回られご立腹の主をちらりと見、水琴は三人を抱え上げ足早に撤収した。


/ 1122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp