第88章 風邪には甘いレモネードを
「足りねェな。ルフィ、お前真ん中持てよ」
二つ折りにして更に絞ろうとそう声を掛ければつまらなそうに見ていたルフィがぱっと表情を輝かせた。
「分かった!こうか?」
「おわっ、ばか、お前__っ」
「うわっ?!」
何を思ったかルフィが垂れ下がっていた中央部分に飛びつきぶら下がる。
急にかかった重さに油断していたエースとサボは支えきれずそのまま倒れた。
「お前なァ!持てって言ったのにぶら下がるやつがあるか!」
「だってブランコみてェで面白そうだったんだもんよ」
「ってぇ~。二人とも大丈夫か?」
三者三様でむくりと起き上がりそれぞれを見る。
見事に泥まみれとなってしまったお互いを見て、はたとエースとサボは我に返った。
「「 あ 」」
そこには泥でぐちゃぐちゃとなったシーツが転がっていた。
***
「気持ちはすごく嬉しかったと思うわ、ありがとう」
助っ人としてフーシャ村から馳せ参じたマキノはあとは任せて、と有無を言わさぬ笑顔で言い切り三人を小屋から追い出した。
俗に言う戦力外通告である。
「家事ってこんなに難しかったんだな……」
「な……」
普段自分のこと以外はあまりやらない三人は小屋全体の生活を維持することがこんなに大変だとは思ってもいなかった。
それは体調も崩すはずである。