第88章 風邪には甘いレモネードを
「次は洗濯だな」
落ち込んでしまったサボに代わり今度はエースが指揮を執る。
個人的な洗濯物は既にそれぞれが済ませているため、エースたちがやるのは大物のシーツだけでいい。
だがこれが結構な曲者だった。
大きなタライに水を張る。
洗濯石鹸で擦り泡を出してから、素足で踏みつけ揉み洗う。
「わははっ、泡まみれだ。おっもしれー」
もこもこと立つ泡にルフィがはしゃぎタライの中で何度も飛び跳ねる。
「ルフィ。あんまふざけてると転ぶ__」
ばしゃん!
一歩遅く、エースが振り向いた時には既に濡れ鼠が一人仕上がっていた。
「うげぇ、この泡苦ェ!」
「そりゃそうだ」
「ルフィ、ほらこっちで口ゆすげよ」
立ち直ったサボが甲斐甲斐しくルフィの世話を焼く。
少し手間取ったものの、洗いまでは何とかなった。
問題は次である。
「干す前に絞らないとだよな」
「だいぶしっかり絞らないと乾きそうにないなぁ」
広げれば三人を合わせてもまだ足りない大きさのシーツにどうするかと顔を見合わせる。
「とりあえず端持つか」
「雑巾みたいに絞るしかないよなぁ」
「おれは?」
「ルフィはちょっと待っとけ」
ちぇー、と口を尖らせるルフィは置いておき、エースとサボはそれぞれシーツの端を持つ。
そしてそれぞれ逆回転にシーツを絞り始めた。
中央から水が勢いよく滴り地面を濡らす。
「こんなもんか?」
「もう少しじゃないか?」
大体は絞れたものの、シーツが大きすぎるため中央付近はあまり絞れず濡れたままだ。
これでは乾くのに一日以上かかってしまう。