第85章 雨降って地固まる
ぼろぼろの装いで帰ってきた三人は、けれど表情は晴れやかだった。
一人の客人を加えた全員で昼の食卓を囲む。一番傷だらけのはずのルフィが最もよく食べていたのには思わず笑ってしまった。
疲れたのだろう。食後すぐに眠ってしまった三人に毛布を掛け水琴は部屋を出る。
夕飯の支度が始まる前に他の家事を済ませておかなければならない。
朝の間に干していた洗濯物は日の光を浴びてしっかりと乾いていた。
鼻歌を歌いながら次々と取り込んでいく。
サボが居候することになり、きっとこれから洗濯物はもっと増えるだろう。
気合を入れて洗わないとなぁ、と一人呟いた時だった。
「おい」
背後からかかる声に振り向く。そこにはやや眠たそうな目を擦りながらエースが立っていた。
「まだ寝てればよかったのに。疲れたんでしょ?」
「お前、いただろ」
水琴の言葉を無視しエースは唐突に切り出す。
内心ぎくりとしながらも水琴は首を傾げて見せた。
「…なんのこと?」
「とぼけんなよ。あいつ助けに行ったときいただろ。最後手ェ出しやがって」
「……知らないヨ?」
「ルフィもそうだがお前も大概嘘下手だな」
「__だって心配だったんだもの」
隠していてもあまり意味がないので素直に白状する。
ルフィを探すために風を飛ばした水琴は思いがけない場面に遭遇し大層肝を冷やした。
「加勢しようと思ったけど二手に分かれちゃうし、ルフィとサボの方にも追手は行くし…」
結局手負いのルフィが危ないと追手を倒しに行き、戻ってきてからエースの方にもこっそり加勢したのだ。
「…別に助けがなくても倒せてた」
「うん、そうかもね。ごめんね」
「違う。そうじゃなくて…」
がりがりと頭をかく。彼の言い出しにくいことを言おうとしている時の癖に水琴は静かに言葉を待つ。