第85章 雨降って地固まる
「さっきからぴゃーぴゃーうるせェよ。言いたいことがあるならさっさと言え」
「……だっでぇ…っ」
「泣くな!!」
「!!」
再び崩れそうになる顔がきゅっと引き締まる。
「…お、俺のせいで…え、エースもサボも…怪我して…っ
エースは、一人で残っちまうし…し、死ぬかと思って……」
震えながらごめんと繰り返すルフィにエースとサボはぽかんと口を開けた。
「__っ馬鹿か!!」
一拍置いてエースが爆発した。
「何が死ぬかと思っただ!そりゃこっちのセリフだ馬鹿野郎!
人の心配してる暇あったらなんでさっさと話して逃げなかったんだ!」
「だって話したら二度と口きかねぇっで…っ!!」
「それがなんだ!死ぬよりましだろうがっ!」
「違うっ!!」
「何が違うんだよ!おれと話せなくなったからって、何も…っ!」
「だっで他に頼りがね゛ぇっ!!!」
さっきまで震えていたとは思えない力強い言葉に一瞬場が静まった。
「もう村には戻れねぇ…山賊は嫌いだし、水琴は海賊で優しいけど、でもやっぱ違うんだ…っ」
大人に囲まれた環境。
その中で同じ夢を持つ同年代の存在がどれだけ有難いものか、サボは痛いほどよく分かった。
「死ぬのは怖いし、嫌だけど…
独りぼっちは、もっと嫌だ……っ!」
涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、ルフィは独りは嫌だと震える。
その小さな肩にサボはそっと手を置いた。
「大丈夫だ、ルフィ。なぁエース…?」
「………」
黙ってルフィを見つめていたエースはサボの言葉に溜息を吐く。
「……おい泣き虫」
「……?」
声掛けにルフィは俯いていた顔を上げた。
泣き虫は嫌いだと言われたせいか我慢しているようだが、その努力はほぼ無為に等しい。