第85章 雨降って地固まる
「今逃げてもおれ達の足じゃすぐに追いつかれる。おれが足止めしとくからお前はそいつ連れて逃げろ」
「馬鹿!だからお前は……!」
「おい、いつまでくっちゃべってんだ」
二人のすぐ傍に鉄拳が叩きつけられる。それを飛びのいて避け、エースは鉄パイプを構え駆けながら叫んだ。
「サボ、行け!!」
「~~~ったく、お前ってやつは…!」
まだロープでぐるぐる巻きの状態のルフィを抱えなおしサボは駆ける。
「すぐ戻る!死ぬなよエース!!」
「待ちやがれ!!」
その後を追おうとした手下に向かってエースは鉄パイプを振り下ろした。
打ち所が悪かったのか昏倒する。
しかし二人ほど後を追って抜け出してしまった。その背を狙おうとしたが殺気を感じ横へ避ける。
グローブがすぐ脇をえぐり、エースの頬に一筋の赤い線が入った。
「ふざけやがって。まずはてめぇからだ」
「ちっ……」
助走をつけ地面を蹴り勢いを乗せた鉄パイプを振り下ろす。
しかしそれは太い両腕に阻まれ鉄パイプごと壁へと叩きつけられた。
「……っ!!」
「弱いくせに粋がるからだ」
確かに今のエースでは一対一ではポルシェーミに敵わない。
体格も違えば繰り出される一撃の重さも違う。
唯一敵うのは機動力だが、不意をつけなければ結局は阻まれて終わりだ。
「あんなガキ見捨てて逃げてりゃよかったのによぉ。てめぇが代わりに死んでたら世話ねぇな。
正義感だの義理人情だと掲げたところで死んだら終わりだ」
「……確かにそうだな」
それでもエースは立ち上がり鉄パイプを構える。