第85章 雨降って地固まる
「__サボ」
どくりと鼓動が跳ねる。
鉄パイプを握る手に力がこもった。
「悪い。付き合ってくれ」
「当たり前だろ」
顔を合わせて二人、同時に隠れ家へと駆けだす。
「「どうりゃぁぁああああ!!!!」」
「えーすぅぅううう!!!!」
鉄パイプを振りかぶり窓をぶち破れば、目の前では涙で顔をぐしゃぐしゃにしたルフィがただただ自分の名を呼んでいた。
窓の傍にいた手下をまず殴って地に沈める。
混乱に乗じてすぐにルフィの下へ近寄り、持っていたナイフでサボがルフィを解放した。
突然の乱入に場はどよめいたが、腐っても海賊の一味、そう簡単にやられてはくれず三人はすぐに囲まれてしまった。
「何かと思えば、まさかそっちから来てくれるとはなぁ」
体勢を立て直したポルシェーミがゆらりと眼前に立つ。
「好都合だ。おい、奪った金はどこにある?」
「__言う訳ねぇだろ」
「あぁん……?」
「お前らよりおれ達の方が有効に使える」
「ガキが…調子に乗りやがって」
先程までルフィを痛めつけていたグローブを構える。
「言っとくがガキを一人殺すのも三人殺すのも同じなんだぜ…?」
「は、出来るんならやってみやがれ」
「おい、エース……!」
「サボ、そいつは任せた」
「何言ってんだ!まともにやり合って敵う相手じゃねぇだろ、さっさと逃げて…」
「一度向かい合ったら、おれは逃げねェ」
二人を庇うように立ち自分よりもずっと大きな敵を睨みつける。
「こいつはおれが倒す」
「馬鹿野郎!一人でどうするつもりだ!」
二人が全力で暴れれば、完全勝利とは言えないが痛手を与えることは出来ただろう。
しかし今二人の傍には傷を負ったルフィがいる。
守る存在を抱えたまま戦うのは二人にはまだ重荷過ぎた。