第84章 ルフィ
「エースーー!!」
「待ってくれよ、エースーー!」
それから二カ月。
ルフィは相変わらずエースの後を追いかけている。
「五年前の水琴みたいだな」
「……私あんな感じだった?」
マグラの言葉に肩を落とす。
いくらなんでもあんなに必死に見えていたのか。ちょっと恥ずかしい。
「じゃあ私も行ってくるね」
洗濯を済ませ、水琴はダダンへ声を掛ける。
「あぁ水琴、薬草が切れそうだからなるべく多めに頼んだよ」
「了解」
キノコや薬草を採りに森へ入る。
大分この辺りの森には詳しくなった水琴は次々と獲物を採っていった。
「おい」
籠が半分くらいいっぱいになった時、頭上から不機嫌そうな声が降ってきた。
「エース、どうしたの?」
てっきりグレイターミナルに居ると思っていた水琴はエースの姿に首を傾げる。
「どうしたのじゃねェよ。早く行くぞ」
「行くってどこに?」
「サボのとこに決まってんだろ。最近水琴に会ってねェってうるせェんだよあいつ」
籠を持ったままの水琴の手を掴み先を行こうとする。
確かにルフィが来てからエースの妨害により森で迷子になるルフィを保護するのにいっぱいいっぱいで、サボに会いに行っていなかった気がする。
「__って待って、ルフィは?」
「あ゛?」
ルフィの名前にエースはじろりと水琴を見上げる。
「知らねェよ」
「エースのこと追っていったんだけど。見てない?」
「知らねェって言ってんだろ」
駄目だ。今のエースはご機嫌斜めだ。
ドグラやマグラもいるので、きっと保護してくれるだろう。
エースに聞くのは諦め水琴は素直にエースについていく。