第13章 水晶の島
ぼふんとベッドへ倒れ込み、貰った青水晶のペンダントをじっと見つめる。
「………」
懐から赤い宝石のペンダントを取り出す。
「……ふふ」
手の中で光る赤と青。
それを大事にしまい、水琴は目を閉じた。
***
「ただ今戻りました!」
一日ぶりのモビーの甲板で水琴はクルーへ声を掛ける。
「おォ。どこ行ってたんだ?」
「エースさんとセレス島まで!」
「なんだよー。デートかよ畜生」
「違いますよー。何言ってんですか!」
変にからかってくるクルーから逃げ惑い、水琴はストライカーを片付け終えたエースへ近寄る。
「あ、エースさん。これ」
「ん?」
そっと小さな紙を差し出す。
「ビブルカード。良かったら持ってて下さい」
「おれにか?」
「はい。一番お世話になってますから!」
エースは水琴からビブルカードを受け取る。
「楽しかったです。また連れて行って下さいね!」
「………あァ!」
にかっ、とエースは笑う。
「……ほう。楽しかったようで何よりだよいエース」
その笑顔がぴしりと固まる。
「で、書類はもちろん出来上がってんだろうな?」
「マ、マルコ……」
ぎぎぎ、と振り向けばそこには覇気を纏わせたマルコ。
「昨日までって言ったろうが!なにてめェは遊び呆けてんだよい!」
「あんな書類終わるわけねェだろ!!息抜きだ息抜き!」
「やることやってからしやがれ!!」
ダッ!!と逃げ出すエースをマルコが追いかける。
あれはしばらく部屋に缶詰めになるだろうと水琴は苦笑する。
連れて行ってもらったわけだし、後で差し入れを持っていこう。
水琴は差し入れを作るために食堂へと歩を進める。
その胸には青いペンダント。
エースの腕でオレンジが光っていたのを思い出し、水琴は頬を緩める。
それぞれの場所で光る青とオレンジ。
水琴の中で、また一つこの世界での思い出が増えた。