第13章 水晶の島
「決まりだな」
エースがログポースを覗く。
「__“セレス島”へ」
エースがそっと呟く。
すると針がくるくると回ったかと思えば、ある方向を向いて唐突に止まった。
「あっちだな」
針路を確認しエースはストライカーを再び走らせる。
「…ずっと思ってたんですけど」
しばらくして水琴は口を開いた。
「エースさんのログポースって、なんか違いますよね」
見た目は普通のログポースだ。
しかし、新世界ではこのログポースでは海を渡れないことを水琴は知っている。
新世界のログポースは、針が三本。
その三つの航路から針路を決める。
それがエースのログポースは前半の海と同様の針一本。
それにさっきの呟き。
まるでエースの言葉に導かれるようにセレス島へのログを示したログポース。
そんなログポース原作でも見たことがない。
「あァ、これは特別製なんだ。ログを溜め込んでおけるから、一度行った島はどこからだって行ける」
「便利ですね!そんな物一体どこで手に入れたんですか」
「………」
返ってこない返事に水琴は後ろを振り向く。
もしかして風の音で聞こえなかったんだろうか。
「エースさ……」
もう一度話しかけようと口を開こうとした時、突然ストライカーの速度が上がった。
急にかかる風圧に思わずストライカーにしがみつき口を閉じる。
「ちょ、速……!」
「忘れた!!」
あっけらかんとエースは叫ぶ。
「え、忘れたって…」
普通忘れるか?
「別に良いだろそんなこと。それより見えてきたぞ!」
エースの言葉に顔を上げる。
少し先に島が見えた。
「あそこがセレス島ですね!」
「あァ。絶対に気に入る」
ストライカーが更に速度を上げた。