第13章 水晶の島
「普段はここからストライカーだけ出してもらっておれは甲板から飛び乗るんだが、今は水琴がいるしな」
気遣いが嬉しい。
もし甲板から一緒に飛び降りろと言われたら断固拒否していたところだ。
「あんまり遠くまで行くなよ」
「分かってる。親父には伝えてあるから」
「ウィリーさん、それじゃあ行ってきます」
エースに手を貸してもらいストライカーへ飛び乗った水琴はウィリーへ手を振る。
「おォ。楽しんでこいよ!」
エースの能力が発動し、ストライカーがモビーから飛び出した。
「うわぁ…!」
モーターボートのように風を切るストライカーに水琴は顔を輝かせる。
「気持ち良いですね!」
「だろ!?」
風に負けないよう大声で後ろのエースへ話しかけると同じように嬉しそうな声が返ってきた。
しばらく走り、エースはストライカーを止める。
「さて、行き先だが…」
「どこか行くんですか?」
てっきり船の近くを少し走って終わりだと思っていた。
「それじゃつまんねェだろ?この近くに島があんだ。せっかくだからそこ行こうぜ」
「時間平気ですか?」
「ストライカーなら往復で半日程度だから大丈夫だろ。親父には言ってあるし」
エースが大丈夫と言うなら平気だろう。
「なんていう島なんですか?」
「セレス島。水晶で有名な島だな。水琴好きだろ?」
「良くご存じで!」
水晶と聞き水琴の目は輝く。
よく土産物屋で水晶の欠片などは見たことがあるが、水晶で有名ならもっと素敵なものがたくさんあるんだろう。
まだ見ぬ島に想いを馳せる。