第13章 水晶の島
「ここに座りこんでりゃエースの炎も当たらねェし、重心的にも丁度いい」
「でも掴まる場所ないじゃないですか。落ちますよ私確実に」
「そういう時の為にこれがある」
そうウィリーが簡易的な手すりを取り出す。
それをあっという間にストライカーの前方へ取り付けた。
「これを持ってりゃ落ちはしねェだろ。エースが無茶な運転しねェ限りはな」
「しねェよそんなの」
「海軍の船の間を砲弾避けながら爆走した奴はどこのどいつだ?」
ウィリーに言われればエースは目を逸らす。どうやら心当たりがあるらしい。
「…今回は水琴がいるからしねェよ」
「聞いたぞ。絶対無茶すんなよ」
念を押されエースは頷く。
設計者にここまで言われれば安心だ。
一度でいいからストライカーに乗ってみたかった水琴はエースの誘いに満面の笑みで頷く。
「よろしくお願いします!」
「よっしゃ、じゃあ下行くぞ」
「え、下?」
ストライカー出す時は下なんだ、とエースは付け足す。
今まで水琴達がいたフロアよりもさらに下へ降りていく。
ここまで深く降りたことがない水琴は興味深そうにあたりを見渡す。
「下の方ってこうなってたんですね…」
「水琴はあんまり来ることねェしな」
「整備室も下にあるんだ」
「え、じゃあなんでストライカーは上でやってたんですか?」
「下だと空気がこもるからな。防火材塗らねェといけねェから下じゃ出来ねェんだ」
話している間に小さな扉が見えてくる。
ウィリーが横のハンドルを回せば、ゆっくりと扉は開いていった。
そこから見えるのは海面。
どうやらここからストライカーは出すらしい。