第77章 修行!
ルールは簡単。先に自身のしっぽを取られた方が負け。
しっぽはエースが赤、水琴が白のハンカチを腰に結ぶ。
制限時間は五分。
砂時計を切り株に置きひっくり返すと、水琴はエースへと向き直った。
「それじゃあいくよ。よーい……」
スタート!の合図とともにエースが飛び出してくる。
その速度はとても五歳の少年とは思えない俊敏さだったが、素早いだけでは水琴のハンカチを奪うことは出来ない。
真っ直ぐにハンカチへと伸びてくるエースの腕を風になり避ける。
離れた場所に再び現れた水琴はエースの方へ手を突き出した。
生まれた風は先程同様エースを吹き飛ばそうと迫る。
「っ!!」
だがそうそう同じ手は何度も喰らわないらしい。風の軌道から逃れたエースは木々の間に隠れる。
どうやら死角から攻めることにしたようだ。
良い判断だ、と水琴もまたエースの気配を探る。
目を閉じる。
さわり、と風が揺れた。
「はい、ハズレ」
「うわっ!」
地を蹴り宙に逃れれば背後から飛びかかろうとしていたエースがつんのめり草むらへダイブする。
「まだまだだね」
ひらり、と白いハンカチを振ればあっ!!とエースが空っぽの腰に手を当てた。
「てっめ、いつの間に……っ!」
「すれ違いざまに。ちゃんと手で取ったよ」
流石に能力を使ってハンカチを奪うのはズルすぎるので無しとした。
しかしそれ以外はなんでもありなので、正直エースには辛かろう。