第77章 修行!
集中砲火喰らったっけなぁ、と徒党を組んで迫る弟妹たちを思い出し、懐かしさに遠い目をしているとエースがそれで?と続きを促す。
「それでどう稽古するんだ?」
「自然系に対して攻撃の手段を探すのは今のエースには難しいから、まずは立ち回り方を覚えるのはどうかなって」
「立ち回り方?」
「そう。勝つ方法を習得することは難しくても、負けない方法を学ぶことは出来るでしょ?」
水琴としては良い提案だと思えたが、エースの表情は変わらずぶすくれたままだ。
「おれは勝つ方法が知りたいんだよ」
「だからそれは今は難しいから、まずは負けないようにしようって話」
「負けないってことは勝つってことだろ?」
「全然違うよ」
どう違うんだ?とエースは頭を捻る。
今のエースには少し難しかったかな、と水琴はどう言えば上手く伝わるだろうかとしばし思考をめぐらせた。
「例えば私とエースでジャンケンをするとするでしょう?絶対に勝てるようになるのは難しいけど、あいこを続けられるようになることは出来るってこと」
「ずっとあいこじゃ勝負つかねェじゃねェか」
「それが目的だもん。勝負を長引かせて、他の道を探れるようにするんだよ。そうすれば最終的にはエースの望む勝利に辿り着けるかもしれないでしょ」
「???」
どうやら更にこんがらがったようだ。
私に学校の先生は向いていないらしい。
「ま、いいや。とにかく結果的には勝てるんだろ?ならしっぽ取りでもいいからやろうぜ」
しばらく考え込んでいたエースだったが、完全に理解することは諦めたらしい。
かなりざっくりとした理解だが一応納得したらしく、張り切って立ち上がった。
まぁ、しっぽを取れば勝ちなのだから確かにワンチャンエースにも勝ち目はあるのだ。
是非とも勝利目指して頑張ってもらいたい。