第76章 海賊
「そん時は、水琴も一緒だからな」
「……え?」
「お前迷子なんだろ。おれが大人になったら、この島から連れ出して、仲間の所に連れていってやるよ!」
だから安心しろ!と力強くエースは宣言する。
まさか自分のことを考えてくれているとは思わなかった。
「……私も一緒に行って、いいの?」
「男に二言はねェよ」
「海賊で、山賊見習いな怪しい女なのに?いいの?途中で裏切ったりするかもよ」
「水琴はそんなことしねェよ。
まァ、万が一そうなった時は覚悟しとけよ。返り討ちにしてやらァ」
強気なエースの言葉に口の端を上げる。
「あの半端海賊にも敵わなかったくせに、よく言うー」
「あれはまだ子どもだからだ!成長すりゃあっという間に強くならァ!!」
「__うん、楽しみにしてる」
くすくすと笑いながら水琴は頷く。
「約束だぞ」
「うん。いつか連れていってね」
固く手を握り合う。
この時代に、いつまでいられるか分からないが。
少なくとも、今このエースの誓いを無下にはしたくなかった。
「よろしくね。エース」
水琴の好きな、太陽のような笑顔が昇る陽に負けず輝いた。