第76章 海賊
__その誰かの影響であいつが海賊を目指すことにした可能性も考えられるだろい。
__そう、約束した。
海賊が嫌いなエースを変え、白ひげになるまでずっと心にいた存在。
「……~~~っ!!」
それが自分だと知り、一気に顔に熱が集まる。
「?なにしてんだ」
「いや、ちょっと……」
照れた顔を隠すように水琴は手で顔を覆う。
これは、ちょっと。
物凄い恥ずかしい。
しかし、これはどういうことだろう。
少なくとも私は“今”この過去に干渉したわけで。
でもエースにとっては過去だから、私とは既に出会ってたってことで……?
でも、エースからそんな話は一度も聞いたことがない。
考えれば考えるほど頭がこんがらがっていく。
「おい」
思考に沈む水琴にエースの声がかかる。
「何考え込んでんだよ。顔赤くして、風邪か?」
「……ごめん。なんでもない」
思考を働かせたせいで少し冷静になれた。
たぶん、きっと気のせいだ。
たまたま話が重なっただけで、きっとマルコが言っていた誰かは別人だろう。
じゃなきゃ話の辻褄が合わない。
とりあえずそう結論付け、水琴は頭を切り替え目の前のエースへと向かった。
「__なれるよ。エースなら。
本物の海賊に」
落ち着いてから、水琴はそう答える。
彼なら、きっと立派な海賊になる。
未来の姿を思い描いて、水琴は微笑んだ。