第76章 海賊
「このアマ、言わせておけば……!」
「構うことねェ。この女もヤっちまえ!!」
全員が同時に武器を抜く。
「……武器抜くなら、覚悟してくださいね」
軽く腕を上げる。
「言っときますが、今の私、手加減出来ないんで」
「武器も持たねェで何言ってやがる!」
「かかれっ!!」
一斉に水琴へ襲い掛かる冷たい刃。
それが触れる前に、水琴は腕を前に突き出した。
ぶわりと風が水琴の服を揺らす。
「突風!!!」
猛烈な風の塊が海賊を襲う。
水琴へ触れることも出来ず、男達は壁へ叩きつけられた。
「ぐはっ!」
「なんだ、今のは?!」
「化け物……!」
「まだやりますか?」
水琴の周りで風が舞う。
「__う、撃て!!」
向けられた銃身は、弾を発射する前にすっぱりと切れごとりと地に落ちた。
「ひっ……!」
「そんな物向けて、エースに当たったらどうするの!!」
銃を取り落とした海賊が再び壁に叩きつけられる。
「___みなさん、病院送りなんて生ぬるい事で終わるなんて思わないでくださいね」
先程までの威勢をすっかり無くした海賊たちを冷たい目で射抜く。
「全員監獄までしっかり送って上げますんで。覚悟してください」