第74章 動き出した運命
ガサガサガサッ!!
突然聞こえた木々の音にびくりと水琴は顔を上げる。
大きさからすぐ近くのようだ。
鳥でも落ちたか、と恐る恐る水琴は顔を出した。
「っつ~~…なんなんだよい。こりゃあ」
「……マルコ?!」
見慣れた後姿に駆け出し飛びつく。
「マルコ!マルコだ~!良かった…!」
「水琴じゃねェか。何やってんだこんなとこで。てか大げさだろい」
「大げさ?!大げさなわけないじゃん。もう一週間だよ?!」
「一週間?何言ってやがる。別れてまだ五分と経ってねェだろうが」
「……五分?」
噛み合わない話に顔を見合わせる。
「__なるほど。時が入り混じるっていうのはあながち嘘でも無いってわけかよい」
いち早く状況を呑みこんだマルコがそう呟く。
「じゃあ、やっぱりここは過去…?」
「過去ってのはどういうことだよい」
首を傾げるマルコに一週間前出会ったエースによく似た子どものことを話す。
「海賊嫌いのエースねェ…」
「もしかしてここ、私達の世界とは全然違う場所なのかなぁ…」
「はァ?なんでそんな話になるんだよい」
「だって、エースが海賊嫌いだったなんて聞いたことないし。私達の知るエースじゃないかもしれないじゃん」
そもそも水琴が井戸から転がり込んだ世界からして、原作とは異なる世界線なのだ。
さらに別の世界があったとしても不思議ではない。
「いや、そうとも限らねェ」
考え出せばキリのない仮定の話に途方に暮れる水琴に対して、マルコはやけに断言した言い方でそれを否定した。
「昔聞いたことがあるよい。ありゃまだエースが仲間になったばかりの頃…」