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【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第12章 音楽家誕生





 「もう、引きずらないって決めたのにな…」



 サッチと見た光景に決意した気持ちが折れかかっているのが分かる。

 潮風を浴び、水琴は再び大きな溜息をついた。



 「よ」


 ぽんと肩を叩かれる。


 「エースさん」
 「こんなとこで何してんだよ」
 「…別に、ちょっと風を浴びたくて」

 エースはいつものように笑い水琴の横に並ぶ。
 
 「特に用がないならちょっと来てくれないか?」
 「え?」
 「水琴に見せたいものがあるんだ」
 「え、ちょっと…」

 元気付けてくれようとしているのは分かるが、今はどちらかと言うと一人でいたい。
 背中を押すエースに待ったをかける。

 「エースさん。あの、それって後でじゃ…」
 「駄目だ。ほらこっちこっち」
 
 案内されたのは食堂だ。まだ昼の時間には早いのに、なんだというのだろうと水琴は首を捻る。

 「開けてみろよ」

 言われるがままに扉を開ける。
 そこにはなぜか多くのクルーがいた。

 「お、来た来た」

 人込みをかき分けサッチが顔を出す。

 「サッチさん。これ何の騒ぎですか?」
 「みんな噂を聞きつけて集まってきちゃってねェ」
 「噂?」
 「そ」

 さァどうぞ、と手を取られ辿り着いた先には、もう二度と見られないと思っていた木製のオルガン。

 「え………」
 「今日は水琴ちゃんの音楽家デビューってね!」
 「うそ、これ、なんで……」

 間違いなくあの町のオルガンだ。戸惑い触れながらサッチを見上げる。

 

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