第71章 世界を照らす一筋の光
「水琴ちゃん、気を付けてな」
「間違っても海に落ちるんじゃないぞー」
「行ってきまーす!」
皆に見送られ、水琴はシルフィードを発進させる。
小さくなっていくモビーディックに手を振り、水琴は手首に付けたログポースを覗き込んだ。
「えっと、こっちの方向に行けばいいんだよね」
「見る針間違えるなよ」
横を並走するエースの助言に了解、と返す。
今回は水琴の練習も兼ねているので航海の基本的なあれこれは全て水琴が行う。
針路の確認もその一つ。迷う訳にはいかないので間違っていたら教えてくれるだろうが、出来ればミスなく島に辿り着きたい。
時折ログポースの針を確認しながら、水琴は晴れ渡る空を見上げる。
「良い天気でよかった」
「油断するなよ。新世界の海は天候が変わりやすいからな」
「突然雨とか嵐にあったら大変だよね。エースはどうしてたの?」
「避けられる距離なら迂回したり、余所の船にお邪魔したりしてたな」
心配しなきゃいけないのは天気だけじゃねぇぞ、とのエースの言葉に水琴は首を傾げる。
「忘れたか?ここは新世界だぜ」