第71章 世界を照らす一筋の光
「どうしよう……」
机に突っ伏し水琴は項垂れる。
「そりゃあ、私だっていつかは。とは思ってたよ?だけど改めてこう目の前に突きつけられるとやっぱり及び腰になるというか、そもそもこんな風に意識してる時点で不自然?失礼?だって今回は親父さんの遣いである意味仕事だし、シュピール島みたいな雰囲気でもないし、大体向こうがどう考えてるかなんてわかんないし。どう思うマルコ?!」
「うるせェよい」
こっちは必死だというのに酷い!!
「付き合い始めてようやく収まるかと思えば、いつまでもぐだぐだぐだぐだと。お前らは十代のガキんちょか」
「私まだ十九ですけど?!」
「そうだったな、悪かった。__まァ、大人しく喰われて来いよい」
「そういう言い方やめてくれない!!」
露骨なマルコの言い方に水琴が噛みつくとじゃあなんでこの部屋に来たんだよいと呆れた目で見返される。
「女の気持ちに寄り添ってほしいんならナースのとこに行け」
「__それは、そうなんだけど……」
既にナースのお姉さま方にはシュピール島の時点で色々話を伺っている。
端的に言えば、さすがお姉さまという他ないような内容でした。
明け透けな初体験の経験談を思い出し水琴はくらくらする頭を振る。
「__その、マルコは」
もごもごと机に伏せたまま、水琴はちらりと上司を見上げる。
「好きな人と一緒なら……やっぱり、したい?」
「そりゃそうだろい」
すっぱりと返される答えにそうだよねぇと項垂れる。
「嫌ならそう言やいいだろうが。エースも無理強いするような男じゃねェだろい」
「__嫌って、訳じゃないし」
「じゃあ何も問題ねェだろ」
「嫌じゃないけど!だけど、初めてって色々あるでしょ?」
うまくいくのかなとか。幻滅されないかなとか。
そもそもそういう雰囲気にどうやって持っていくのかなとか。
シュピール島はやはりそういった特別な雰囲気があったように思う。
だが時が経ち、改めてとなるとやはり二の足を踏んでしまう。
「乙女心は複雑なんです……!」
「そうかよい。せいぜい悩め」
匙を投げたマルコに見捨てられ、水琴は酷い!と泣き言を吐く。