第70章 一進一退……?
「もう!目立つようなことしたらダメでしょう」
「これでも結構セーブしたつもりなんだけどな」
「エースの思う普通は普通じゃないから!」
「悪かったって。でもこれでキーワードも揃ったろ」
綺麗に埋まった紙をひらりと振る。
「まだ時間もあるし、休憩して最後に景品受け取りに行こうぜ」
「そうだね」
気を取り直し通りを進む。
歩き通しで少し暑くなってきたということもあり、ワゴンでアイスを買うことにした。
あん時もアイス食ったなぁ、と思いながらエースは横の水琴をからかう。
「また三段か?」
「さすがに今日はそんなに食べません!」
そう言って水琴が選んだのはソフトクリームだった。果実のジェラートをエースへと手渡し美味しそうに頬張る。
すぐ近くのベンチへ座り二人は並んで舌鼓を打った。
「冷たくて美味しい!」
「休憩全然してなかったしな」
アイスの水分が身体に染み込む。
ふと横を見れば水琴からは死角になるところが溶けて流れ落ちていた。
「水琴、垂れてるぞ」
「えっ、うそ。どこ?」
動かしたせいで余計に垂れ水琴の手にまで伝い落ちる。
白い露が細い指を伝い線を引くのを見て、美味そうだなと反射的に思った。
そっと顔を寄せ手首に唇を寄せる。
雫を吸い、そのままつ、と線をなぞるように舌を這わせた。