第70章 一進一退……?
「次はここかなぁ」
いくつか謎を解き進め、辿り着いたのはアスレチックエリアだった。
船をイメージしているのか。広い敷地内に高々とそびえ立つ複数の柱や足場を繋ぐようにロープや細い吊り橋が揺れている。
命綱を付け挑戦している面々が同じ紙を持っていることからしてどうやら間違いないらしい。
「ここは……ちょっと私は厳しいかな」
普段の水琴の服装なら問題ないが、今の水琴には確かに厳しいだろう。
他の挑戦者たちも同様のようで、大体は男が挑戦し、片割れは下で見守っているようだった。
「ぱっと行ってくるから、ちょっと待ってろ」
動きやすいようジャケットを水琴に渡し入口へと向かう。
「あ、それいいや。邪魔だし」
命綱を装着しようとするスタッフに断りを入れ、エースは膝を曲げ地を蹴り上げた。
一蹴りで背丈を優に超える高さの柱へと飛びつき、くるりと身体を反転させ横の吊り橋へ飛び移る。
「……と。これか?」
一般客が呆然としている中エースは易々と頂上まで辿り着き、そこに書かれたキーワードを自身の紙へと書き写した。
上がってきたのと同様するすると下りていく。
軽い音を立て地面に足を付ければ周囲から歓声が湧いた。
「へ?」
「すごいな兄ちゃん!」
「曲芸師か何かか?」
「あー、いや。おれは」
「エース!」
横から水琴に手を引かれ慌ててその場を立ち去る。