第68章 降り積もる” ”
くい、と顎を持ち上げられる。いつになく真摯な瞳と目が合った。
「んっ……」
唇が重なる。
最初は軽く触れ合うだけ。
一旦離れた唇は、再び角度を変え何度も何度も重なり合う。
「んんっ………ふっ、ぁ……っ」
突然のことに思考は真っ白となり、ふわふわとした心地で水琴はただ自身を翻弄するエースを受け入れる。
酸素を求め僅かに開いた隙間からぬるりとエースの舌が侵入した。
触れる熱にびくりと震える。
反射的に身を引こうとするも、頭と腰を支えるエースの腕が離れることを許さなかった。
すり、と頭を支えるエースの手が項を掠め耳元を擽る。
甘い痺れが脳天を貫き、立っていられず水琴は拘束するエースへともたれかかった。
それを合図とするようにエースがようやく水琴の唇を解放する。
「__したかよ。ドキドキ」
今までで一番近い場所からエースが水琴を見つめる。
その目に灯る炎を見ていられず、水琴は顔をエースの胸に埋めた。
心臓の音がうるさすぎて聞こえているんじゃないかと思う。
胸中を満たす先程の甘い余韻を持て余し、水琴はただただエースにしがみついていた。