• テキストサイズ

【ONEPIECE】恵風は海を渡る【エース】

第66章 とある発明家の話







 「私の負けだ」


 よく通る声はその場にいる全員に聞こえた。


 「約束通り、リオの自由を約束しよう」
 「父さん……」
 「今まですまなかったリオ。母さんが残した子だから、彼女の分までお前を幸せにしたいと、その一心でお前の心をないがしろにしていた。お前がそんなことは望んでいないと、気付いていたのに……」

 膝をつき、父の瞳が同じ目線でリオを見つめる。


 「これからは本当に何をするにも自由だ。発明も、安全管理をきちんとするのなら好きにしなさい。……もし、彼らについて行きたいというのなら、」
 「ここにいるよ」

 
 父の言葉を遮りリオは言葉を紡ぐ。


 「ここにいる。ここで、開発がしたい」
 「リオ……」
 「それで、父さんの役に立つんだ」
 「__っ!」
 「父さん言ってたろ?向こう側の港町の発展が遅れてるって。小型船、開発したんだ。二人がいたから、出来たんだよ……」
 「言ったろ?”コイツが本当にやりたいことを理解してるのか”ってな」


 エースの言葉を受け、父はそっとリオへ腕を伸ばす。
 それに応えるように、リオも大人しくその腕に収まるよう身を寄せた。


 「リオ……っ」
 「父さん、黙って出てってごめんなさい。だけど、オレ、あたしっ、どうしても父さんの役に立ちたくて……っ」
 「いい。いいんだリオ……っ」



 少しだけすれ違ってしまった親子は。

 ほんの少しの騒動によりお互いを思いやる気持ちに気付き、ようやく歩み寄れた。




/ 1122ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp