第66章 とある発明家の話
「自己満足を押し付けて。それは羽を毟りとるのとどう違う?」
「___っ」
エースの言葉に当主は怒るでもなく黙り込む。
はらはらと自身を見上げるリオを見、そしてまっすぐ見つめてくる水琴を見た。
疲れたようにしばし目を閉じる。
「__そうまで言うのなら、海を渡る者よ」
しばらくして、当主が言葉を水琴達へと投げかける。
「是非あなた方に、示して欲しい。私達が狭めている、”可能性の外側”を」
先程の勝負、受けましょうと当主が囁く。
「その代わり、そちらは彼女だけ、こちらはグアラを始め、ボディーガードの数名が参加します。よろしいですかな?」
「っ父さん!」
「そちらから言い出した勝負。まさか投げ出すまい」
「構いませんよ。何人でもどうぞ」
「なぁ…水琴大丈夫か?脅かすわけじゃないけど、グアラ達マジで強いぞ」
「あァ。ま、大丈夫だ。……この件に関しては、おれも勝てる気がしねェから」
「は?」
「さ、では始めましょうか」
脱力するエースを背後に、うきうきと水琴は開戦を告げた。