第66章 とある発明家の話
「__おかしなことを言う。親が子を守るのは当然でしょう。それを、まるで私がリオを無理やり縛り付けているような…」
「へェ。じゃあ聞くけどよ、当主様。あんたコイツが本当にやりたいことを理解してるってのか?」
今まで口を挟まず傍観に徹していたエースが口を開く。
「発明でしょう。幼い頃からしていましたからね、よく知っていますよ。その危険性も。
だがいつまでもおもちゃで遊んでいるわけにはいかないでしょう。この子の将来のためにも、きちんとした教育を受け幅広い可能性を掴んでもらうために、私は…」
「”幅広い可能性”ってのはいったい誰にとってのだ?」
「?何を言って…」
「なァ当主様。あんたは偉いよ。リオが食うに困らないよう働いて、下手な怪我をしないようボディーガードまでつけて、しっかり守ってる。衣食住すらまともに与えられない子どもも多い中、リオは恵まれてる。”身体的”にはな」
「………」
「だがよ、”この子のため”と言って大きな籠の中に閉じ込めて、”十分飛べるから自由を与えている”と、本当に言えるか?リオが、もっと大きく羽ばたけるとは、考えないのか?」
まだこの子は幼く世間を知らないから。
将来困らないように。
理不尽に社会に傷付けられないように。
誰もが望む、”そうあって欲しい未来”を選べるよう、道を整えて。