第66章 とある発明家の話
「な、なんだ?!」
「__それ以上は、止めておけよ」
少し遅れて裏路地からエースが出てくる。
「火傷じゃ済まないぜ?」
「ひ、火拳まで……」
「なんで白ひげがここに……」
賞金首が二人も揃う光景に男達はたじろく。
しかし根性があるのか後に引けない理由があるのか、男達はエースへと目標を変えたようだ。
「え、えぇい怯むな!お嬢様をお守りするんだ!一斉に行くぞ!」
「先に手を出したのはそっちだからな。恨みっこなしだぞ」
向かってくる男達を楽しそうにエースは迎える。
「ま、待てエース!そいつらは……っ」
慌ててリオが止めるが、少し遅かった。
呆気ないくらい簡単に男達が地に沈む。
「なんだ。もう終わりか?呆気ねェなァ」
完全に伸びてしまった男達にエースも拍子抜けしたようだ。
彼にとってみたら準備運動にもならなかったことだろう。
「あちゃー……」
天を仰ぐリオに、どうやら手を出してはいけなかったらしいことに気付くがもう遅い。
「ねぇリオ。この人達って……」
「__うちの、ボディーガード」
「……それに、今お嬢様って言って……?」
「誰も男なんて言ってないだろ」
むすっとした表情で告げるリオに水琴は固まる。
「リオ様はここか!って、これは一体?!」
また一人誰かが数人を伴い路地から飛び込んでくる。
先程の男達よりも一回り逞しい体付きの彼は恐らく彼らのリーダー的存在だろう。
バタバタと倒れる自分の部下に一瞬ぽかんと口を開け、その傍に立つエースを見、そして水琴と、その後ろに立つリオを見る。
「__確保ォ!」
あぁ面倒なことになった。