第66章 とある発明家の話
たくさんの食料品を買い込んで水琴とエースが戻ると、何だか浜の方が騒がしい。
風に乗って聞こえてくるリオの怒鳴り声に水琴は嫌な予感を覚えた。
「だからっ!オレはまだ戻らないって言ってるだろ!」
「ですがリオ様」
「リオッ!!」
「水琴……!」
数人の男達に囲まれるリオを見てたまらず水琴は駆け寄り背に彼を庇うよう男達の前に立つ。
「なんだ、お前……っ」
「貴方達こそこの子に何の用ですか」
「我々は」
「おい、待てこいつ!」
男の中の一人が水琴を指さし声を上げる。
「”異世界の民”だ!賞金首の!」
「なに?!じゃあ海賊……?!」
「なんで海賊がリオ様と」
「危険だ、排除しろ!」
途端にざわめき殺気立つ男達に水琴は違和感を覚える。
その違和感の中心人物に水琴は目を向けた。
その人物、リオは気まずそうに俯いている。
「リオ、この人達は……?それに、リオ様って?」
「こいつらは、その……」
背後を振り向く水琴にチャンスと思ったのか、男の一人が警棒のようなものを取り出し構える。
水琴へと振り上げる前に、男達の周囲を赤い炎が取り囲んだ。