第66章 とある発明家の話
「___ははっ」
ぽかんとしたのは一瞬で、リオは乾いた笑いを洩らした。
「はは、ははは……本気で?そんなことしたのか!」
「そんなおかしな事か」
「おかしい事かって?サイッコーだよ!目的があって前半の海を移動することはあるかもしれないけど、わざわざ新世界から”あの壁”を抜けて単身こっちまで来る奴がいるなんて!」
乾いた笑いはいつの間にか肩を震わせるまでになり、リオは腹を抱えて笑った。
「あーおかしい。こんな型破りの奴は初めてだ。でもそれくらいじゃなきゃ面白くないな」
気に入ったよ、あんたら。とリオは涙を拭い顔を上げる。
「いいよ。船を造ってやるよ」
「本当?!」
「あぁ。って言っても一からだといくらなんでも時間がかかりすぎるし、オレもそんなに暇じゃない。実験に使おうと思って造りかけのやつがあるから、それをやるのでいいか?」
「おう、もちろん。時間をあまり掛けられないのはこっちも同じだからな」
船が何とかなりそうな雰囲気に水琴は手を合わせ喜ぶ。
「あ、それで代金は……」
「資材費を出してくれりゃあいいよ。こっちだって本業じゃないし」
あ、その代わり手伝ってもらうからな!と言われ二人はもちろんと頷く。