第66章 とある発明家の話
あと少しで港、というところまで差し掛かった時だった。
突然爆発音と共に横道から誰かが飛び出してくる。
衝撃で吹き飛んだのか、その誰かはゴロゴロと水琴達の前を勢い良く転がっていき、道の端で止まった。
「……た、大変!」
ぐったりと動かない様子に水琴は驚きで止まっていた足を倒れている人物へ向ける。
様子を窺おうと伏せていた身体を慎重に仰向けに転がした。
覗いた顔が想像以上に幼い顔立ちで、水琴は息を呑む。
恐らくは十代の中頃、チョッパーと同じくらいだろうか。
「誰かに襲われたわけじゃなさそうだな……服装からして、作業中の事故か?」
子どもが飛び出してきた路地の様子を窺っていたエースの言葉で、水琴もまた子どもが着ている服が職人の着ているツナギに似ていることに気付く。
いつまでもここで寝かせておく訳にもいかないと、水琴とエースは子どもを元の路地へと運んだ。