第65章 たとえ御旗は異なれど
「あんたは!何我儘言ってんのよ!」
「我儘じゃねぇ!おれはただ一緒に冒険しようって誘ってるだけだ!」
「それが我儘なの!ったく…悪いわね、うちの船長が」
「いや、こっちこそ苦労かけて悪いな」
「もう慣れたわ…でも、大丈夫なの?包囲網もどれくらいの規模か分からないし、あなたたちの船だと危険じゃない?
ルフィじゃないけど、せめて次の島までは一緒に行った方がいいんじゃないかしら」
ナミの当然の心配にエースは笑い返す。
「ご心配どうも。だが海軍に包囲されてるからこそ小回りの利くこいつの方が立ち回りやすいんでな。見つかったとしても速度ならおれたちの方が出せる」
いざとなったら船奪えばいいしな、と明るく告げるエースにそんな無茶な、と言いかけるが
実際に大型船数隻を一瞬で沈めてしまった彼の心配をするだけ無駄だと悟り呑み込む。
そしてまだまだむくれているルフィに顔を向けた。
「…諦めなさい。分が悪いわ」
「嫌だ!なぁ、水琴もいいだろ?」
エース相手では無理と思ったのかルフィが水琴へと矛先を向ける。
ルフィの気持ちはものすごく嬉しいし、一緒に行けるのなら行きたいとも思うけど…とちらりとエースへと目を向ける。
……。
うん、無理だ。