第65章 たとえ御旗は異なれど
「__さぁ!準備するわよあんたたち!もう時間が無いんだから!」
ナミの掛け声に皆支度をするため動き出す。
水琴もエースと共に準備をするため場を離れようとした。
「__水琴さん」
そんな水琴をビビが呼び止める。
「ちょっとだけ、話をしてもいい……?」
「ビビ……もちろん」
話の内容が先程の件だというのは予想出来た。
何故水琴を呼び止めたのかまでは分からなかったが、最後になるだろうビビの申し出を断る理由はない。
エースに少し離れることを告げ、部屋を出る。
ビビの先導で行き着いたのは、先程もエースと共に話したあの通路脇のスペースだった。
「__水琴さんは、どうしてこの世界を選んだの?」
沈黙の後、ビビはそう切り出した。
「エースさんから聞いたの……一度は元の世界に帰れたのに、何故もう一度、この世界に来ようと思ったの……?」
ビビの問い掛けに、水琴は何故ビビが自分を選んだのかを理解した。
ビビにとっては、同じなのだろう。
この国で王女として暮らしていくことと、海賊として自由の海に繰り出すこと。
その二つは、まるで世界を越えるくらい大きな隔たりを持つ世界なのだ。
「__私の答えは、ビビの答えにはならないけど……」
前置きをして、水琴は何から話そうかと暫し言葉を探し沈黙する。