第63章 絶望の中に見える光
「あっ……!」
コーザに続くビビの足にたおやかな腕が咲き絡め取る。
勢いよく転倒したビビに気付きコーザは足を止めた。
「ビビ!」
「行って!!」
駆け寄ろうとするコーザをビビは大声で制止する。
「お願い、戦争を止めて……!」
コーザが躊躇したのは一瞬で、すぐさま再び門の方へと駆けていった。
その後ろ姿を見送りビビは足を拘束するものを見下ろす。
「今戦争を止められるわけにはいかないの」
「……ミス・オールサンデー……っ」
この戦いを混乱なく止めるためには、国王軍に白旗を上げさせる必要がある。
円滑にその作戦を進めるためにはコーザだけでは役不足だ。
国王軍に反論の余地を挟ませない、王女であるビビの言葉が必要となる。
だからこその拘束だろう。
「そこで大人しく見ていなさい、王女様」
「誰が……っ」
懐に手を入れ、ビビは自らの武器である孔雀スラッシャーを取り出す。
そして足に絡み付く腕に思い切り突き刺した。
「っ!!」
ミス・オールサンデーの表情が険しくなり、その腕から血が流れる。
同時にビビを拘束していた腕は煙となり消えた。
今までの旅で、ビビはこの能力の弱点に気付いていた。
レインバースでエースの炎に焼かれた時も、先程ツメゲリ部隊に門を突破された時も。
本体であるミス・オールサンデーもまたダメージを負っていた。
効果範囲は広く厄介だが、攻撃が効くのであれば直接羽交い締めにされているのとそう変わりはない。
解放されたビビは前のめりになるよう柵へ走り寄る。
門を行くコーザを追うのは時間のロスだ。ビビのやることはただ一つ。国王軍に協力を依頼することだけ。
革命軍の方はコーザに託し、ビビは身を乗り出し「国王軍!」と声を張り上げる。