第63章 絶望の中に見える光
「降伏の白旗を!今すぐ降伏しなさい!国王軍!!」
「ビビ様、なんて事を……!」
「降伏……?!」
突然の王女の発言に広場で待機していた兵たちは動揺する。
そこへ門を開きコーザが現れた。
「言うことを聞いてくれ!おれ達はもう勝利も、勝負も望まない!この戦いを止めて欲しいんだ!」
「コーザ?!」
「反乱軍のリーダーが何故ここに……」
「反乱軍にはおれが知らせる!この戦いは無意味なものだったと!」
クロコダイルの掌で転がされ、イタズラに血を流す必要はもう無いのだ。
「白旗を降ってくれ!頼む!」
がしゃ、と金属の鳴らす音が響く。
コーザの決死の叫びに応えたのは国王軍だった。
次々と上がる白旗にビビは目の前が滲み揺れるのをぐっと堪える。
「___余計なことをしやがって」
チャカが倒れ、クロコダイルがゆったりとビビと対峙する。
ビビもまたクロコダイルへ向き直り強い瞳で睨みつけた。
「……これで戦いは収まる。次はあなたよ、クロコダイル」
「ほォ……大きく出るじゃねェか、お姫様」
「………?」
余裕な態度を取るクロコダイルにビビは違和感が頭をもたげる。
クロコダイルにとって、争いを止められるのは痛い出来事のはず。
なのになぜビビを攻撃することもなく、ゆったりと構えていられるのか。
「__ミス・ウェンズデー」
ビビの疑問に答えるようにクロコダイルは口を開く。
「覚えておけ。策というのは二重三重に張るからこそ盤石なものとなる」